
パスワード管理は「おまかせ」でOK!
ストレスフリーなネット生活を手に入れる方法
みなさんはビジネスやプライベートで多くのWebサイトを利用していると思います。
その数多くのWebサイトのパスワードをどのように管理していますか?
現在、WebメールやSNSだけでなくオンラインショッピングやオンラインでの銀行取引も一般的になってきて、各Webサイトのアカウントやパスワードを安全に管理することはますます難しくなっています。
そこで役立つのが「パスワードマネージャー」です。
本記事では、パスワードマネージャーの基本的な機能やメリット・デメリット、選び方について詳しく解説します。
パスワードマネージャーとは
パスワードマネージャーとは、Webサイトで利用するパスワードを安全に保存し、必要なときに必要なタイミングで自動的に入力してくれる頼もしいツールです。
パスワードマネージャーを利用することで、ユーザーはパスワードを覚える必要がなくなるだけでなく、複雑なパスワードの生成をパスワードマネージャーに任せることができます。
なぜパスワードマネージャーが必要なのか
パスワード認証は知識認証の1つです。知識認証は本人しか知らない情報を入力させる認証手段になります。
Webサイトでは辞書攻撃やパスワードリスト攻撃などの対策として複雑なパスワードを要求し、他のWebサイトで使っているパスワードを使わないよう案内します。
一方で利用者は、利用するWebサイトが増えてきたことでそれぞれのWebサイトで別々のパスワード(加えて複雑なパスワード!)を覚えておくことは困難です。
Webサイト側と利用者側の主張をまとめると以下のようになります。
Webサイト側 |
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利用者側 |
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上記のようなWebサイト側と利用者側のギャップを埋め、セキュリティと利便性を両立するためのツールがパスワードマネージャーです。
パスワードマネージャーの機能
パスワードマネージャーには以下のような機能があります。
パスワード/パスキーの保存
パスワードマネージャーでは、Webサイトでのパスワード登録時やログイン時に入力されたパスワードを自動的に暗号化し保存します。
暗号化されたパスワードはパスワードマネージャーを利用するためのパスワード(マスターパスワード)を使った認証や生体認証が成功しないと復号できないので、万が一デバイスが盗まれたりハッキングされたりしても、パスワードが漏洩するリスクは低いです。
また、最近話題のパスキーもパスワードと同じように保存します。
パスワードの自動入力
パスワードマネージャーは、Webサイトにログインする際に保存されたパスワードを自動的に入力します。
パスワードはWebサイトのドメインと一緒に保存され、保存したドメインとアクセスしたドメインが一致したときだけパスワードを自動入力するのでフィッシング対策としても有効です。
パスワードの生成
パスワードマネージャーには強力なパスワードを自動生成する機能も備えており、ユーザーは簡単に安全なパスワードを作成できます。
強力で推測されにくいパスワードを生成し、パスワードマネージャーに記憶させることで安全にWebサイトを利用することができます。
パスワードの監査
一部のパスワードマネージャーでは保存されているパスワードの強度を評価し、パスワードの使い回しや脆弱なパスワードがあれば警告をする機能も提供しています。
この機能を利用することで、利用者は常に最適なセキュリティ状態を維持できます。
デバイス間のパスワード同期
多くのパスワードマネージャーはスマートフォンやタブレット、PCなど複数のデバイス間でデータを同期する機能を持っています。
デバイス間の同期により、どのデバイスからも安全かつ簡単にWebサイトにアクセスできるようになります。
パスワードマネージャーで管理できるもの
パスワードマネージャーは、単にパスワードを保存するだけでなく、さまざまな情報を安全に管理するための便利なツールです。
ここからはパスワードマネージャーで管理できる主なアイテムを紹介します。
ログイン情報(ユーザー名とパスワード/パスキー)
最も基本的な機能としてWebサイトのログイン情報(ユーザー名やパスワード、パスキー)を保存します。
このログイン情報はWebサイトのドメインと一緒に保管され、アクセスの際にはドメイン情報が一致するときだけログイン情報が利用されます。
クレジットカード情報
多くのパスワードマネージャーはクレジットカードの情報(カード番号、有効期限、カード名義など)を安全に保存し、オンラインショッピング時に自動入力することもできます。
ECサイトなどでの買い物の際に手間を省きつつ、セキュリティを保つことができます。
個人情報
名前、住所、電話番号、メールアドレスなどの個人情報も保存できます。
Webサイトの登録フォームへの入力が簡単になり、アカウント登録時の手間が大幅に減ります。
メモやノート
パスワードマネージャーには、メモやノートを保存する機能もあります。
例えば特定のアカウントに関連するセキュリティ質問の答えを暗号化して記録することができます。
パスワードマネージャーのメリット・デメリット
ここからはパスワードマネージャーを利用する上でのメリットとデメリットを解説します。
メリット
セキュリティの強化
パスワードマネージャーで強力でユニークなパスワードを生成し保存することでアカウントのセキュリティを大幅に強化できます。
使い回しのパスワードを避けることができ、ハッキングやフィッシング攻撃のリスクを減少させます。
ログイン時の時間短縮
パスワードの自動入力機能を使うことでログイン時の手間を省き、時間を節約できます。
Webサイトで利用するアカウントのパスワードを記憶する必要がなくなり、ログイン作業がスムーズになります。
パスワードマネージャーを使えば、ログイン時のパスワードを間違えることもなくなります。
パスワードの管理が簡単
パスワードマネージャーは、すべてのパスワードを一元管理するためどのアカウントにどのパスワードを使用しているかを簡単に把握できます。
もしWebサイトでパスワードの変更が必要になっても、パスワードマネージャーが新しいパスワードを記憶してくれます。
デバイス間の同期
パスワードマネージャーはスマートフォン、タブレット、PCなど複数のデバイス間でデータを同期できるので、どのデバイスからでも簡単にアクセスできます。
利用する端末が複数ある場合に同期をしておくと、同期した端末全てで安全にWebサイトを利用できます。
デメリット
パスワードマネージャーはとても便利なものですが、利用する際にはいくつかのデメリットや注意点も存在します。
これらのデメリットを理解した上で、自分にあったパスワードマネージャーを選ぶことが重要です。
依存性のリスク
万が一そのパスワードマネージャーが利用できなくなった場合(例えば、サーバーダウンやサービス終了)、すべてのパスワードにアクセスできなくなるリスクがあります。
また、パスワードマネージャーを利用するためのマスターパスワードを忘れてしまうと、保存した情報にアクセスできなくなる可能性があります。
セキュリティの懸念
パスワードマネージャー自体がハッキングされるリスクもゼロではありません。
クラウドベースのパスワードマネージャーを利用する場合、データが外部のサーバーに保存されるため 信頼性の高いパスワードマネージャーを選ぶことが重要です。
また最近では、パスワードマネージャーに保存された認証情報を狙うマルウェアが増加しており、特に企業で利用する場合はエンドツーエンド暗号化やゼロ知識暗号の機能を持ったパスワードマネージャーを使うことや、パスワードマネージャー自体に多要素認証を設定するといった対策が必要でしょう。
プライバシーの懸念
パスワードマネージャーに保存する情報は非常にセンシティブなものであるためプライバシーに対する懸念が生じることがあります。
特にパスワードがどのように保存され、管理されているかを理解しておくことが重要です。
パスワードマネージャーの種類
パスワードマネージャーにはさまざまな種類があり、それぞれに特徴や利点があります。
さまざまなパスワードマネージャーの中から自分のニーズやライフスタイルに合ったものを選択することが重要です。
ブラウザベースのパスワードマネージャー
ブラウザベースのパスワードマネージャーはブラウザに組み込まれているパスワードマネージャーです。
代表的なものとしてGoogleパスワードマネージャーがあります。これはGoogle Chrome ブラウザに組み込まれたパスワードマネージャーです。
ブラウザベースのパスワードマネージャーは便利な一方で、ブラウザを起動できればパスワードを利用できてしまいます。
(最近ではパスワード利用の際にもPIN認証や生体認証を要求することもあります。)
また、異なるブラウザ間での同期はサポートされません。
例えば、Google Chromeで保存したパスワードはMicrosoft Edgeでは自動入力されません。
このタイプのパスワードマネージャーは Google Chrome だけではなく Microsoft Edge や Mozilla FireFox など多くのメジャーなブラウザで提供されています。
OS標準で提供されるパスワードマネージャー
OS標準で提供されるパスワードマネージャーも存在します。
iCloudキーチェーンはAppleのデバイスで利用できるパスワードマネージャーです。
Windowsの資格情報マネージャーもOS標準のパスワードマネージャーの一種ですが、Webサイトのパスワード保存や自動入力が限定的だったり、クラウド同期ができなかったりと機能は多くありません。
またGoogleパスワードマネージャーも最近では Android OS への組み込みが進んでおり、OS標準のパスワードマネージャーとも言えるでしょう。
スタンドアロンのパスワードマネージャー
スタンドアロンのパスワードマネージャーはブラウザに依存しない形で提供されるパスワードマネージャーです。
PCブラウザで利用する際にはブラウザの拡張機能をインストールすることでパスワードの保存や自動入力の機能を利用できます。
このタイプのパスワードマネージャーはクラウド型とローカル型に分かれます。
クラウド型はインターネットを介してパスワードを保存し、複数のデバイス間で同期することができるため、多くのデバイスからアクセスできるといったメリットがあります。
代表的なものとしては、LastPass、1Password、Keeperなどがあります。
ローカル型はインターネット接続が不要でデータが外部サーバーに保存されないためプライバシーを重視する方に向いています。
代表的なものとしては、KeePassなどがあります。
企業向けのパスワードマネージャー
企業向けに設計されたパスワードマネージャーも存在します。
企業向けのパスワードマネージャーは複数のユーザーが利用できるよう設計されており、アカウントの管理や共有も可能です。
またSAML などのシングルサインオンに対応しているパスワードマネージャーも存在します。
セキュリティポリシーの設定や監査機能が充実しているため、企業のセキュリティニーズに応じて利用できます。
スタンドアロン型のパスワードマネージャーの多くが企業向けのプランを提供しています。
パスワードマネージャーを選ぶ際のポイント
パスワードマネージャーを選ぶ際には、いくつかの重要なポイントを考慮することが大切です。
セキュリティ
パスワードマネージャーを選ぶ際のポイントとして最も重要なポイントはセキュリティです。
データの暗号化方式、多要素認証(MFA)のサポート、セキュリティ監査機能などを確認しましょう。
特に企業向けに関しては、エンドツーエンド暗号化やゼロ知識暗号化に対応していること、多くの企業で導入されていること(サービス終了の可能性が低い)、過去に情報漏洩等のセキュリティ事故を発生させていないなど安全性と信頼性の高いパスワードマネージャーを選ぶことが重要です。
使いやすさ
インターフェースが直感的で使いやすいかどうかも重要です。
特に初めて利用する場合、設定や操作が簡単であることが求められます。無料トライアルを利用して、実際に使ってみることをおすすめします。
プラットフォームの互換性
自身の使用するデバイスやブラウザに対応しているかを確認しましょう。
Windows、macOS、iOS、Androidなど、主要なプラットフォーム全てで利用できることは重要ですが、利用者自身が使うデバイスやブラウザに対応していることが必要不可欠です。
デバイス間の同期
複数のデバイスで利用する場合デバイス間でのデータ同期がスムーズに行えるかを確認しましょう。
クラウド型のパスワードマネージャーは、通常この機能が充実しています。
バックアップと復元機能
データのバックアップや復元が可能かというポイントも重要です。
万が一のデータ損失に備えて、定期的なバックアップ機能があるか確認しましょう。
さいごに
本記事では「パスワードマネージャー」について詳しく解説しました。
現代の多くのWebサイトを利用する人々にとって、パスワードマネージャーは欠かせないツールです。
「パスワードを覚えるのが大変」と感じている方や、「セキュリティが心配だけどどうすればいいのか」と悩んでいる方は、ぜひパスワードマネージャーを試してみてください。
パスワードマネージャーを利用することで、面倒なログイン作業がスムーズになり、安心してWebサイトを利用できるようになります。
ただし、パスワードマネージャーはあくまでツールであるため、正しい知識を持って適切に使用することも重要です。
また、Webサイトの運営者の立場から見ると、パスワードマネージャーの導入は強制できずその利用はユーザーに委ねられています。
したがって、より安全な認証方法としてパスワードレス認証(パスキーなど)への対応も検討しましょう。
利用者としては、パスワードを適切に管理するだけでなく、使用していないWebサイトのアカウントを削除したり、パスキーなどのパスワードレス認証を利用したり、最新のセキュリティ情報をチェックすることで、より安心してインターネットを楽しむことができます。
安全で快適なオンラインライフを送るための第一歩として、パスワードマネージャーを使ってみてはいかがでしょうか。
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